足尾山塊 中倉山(1530m)、沢入山(1704m)、オロ山(1821.7m)、 2013年6月9日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:43 銅親水公園(駐車場)−−4:51 水道管橋−−5:29 上久保沢右岸踏跡入口−−6:52 中倉山−−7:41 沢入山(休憩) 7:54−−8:43 オロ山(休憩) 9:06−−9:38 1660m肩で立ち話 9:53−−10:00 沢入山−−10:32 中倉山−−11:05 林道−−11:36 水道管橋−−11:45 銅親水公園(駐車場)

場所栃木県日光市(旧足尾町)
年月日2013年6月9日 無雪期日帰り
天候
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場銅親水公園に駐車場あり
登山道の有無基本的に登山道は無いが一部を除き踏跡、鹿道あり
籔の有無僅かな区間だが笹藪あり
危険個所の有無無し。露岩は巻ける
山頂の展望中倉山:大展望、沢入山:展望悪い、オロ山:展望悪い
ただし稜線上は樹林が無い区間が長く大展望を楽しめる
GPSトラックログ
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コメント旧足尾鉱山の亜硫酸ガスを含む排煙の影響で樹林が枯死、消滅し、植林により緑が回復しつつあるエリアを歩く。中倉山までの南斜面は植林した木々が根付き濃い緑が回復しているが、北斜面はまだまだ岩盤が露出した荒涼とした風景が続き、稜線上も砂礫や笹原が多い。おかげで標高の割に大展望の楽しめるルートでもある。樹林はオロ山周辺のみ存在する。上久保沢右岸に踏跡(植林作業道?)があり、中倉山山頂まで明瞭な道が続く。その後は基本的に道は無いが、稜線上には籔は無かったり、笹があっても鹿道があったりして本格的な籔漕ぎはほぼ無い。稜線上は樹林が無く日差しをもろに受けるので秋など涼しい時期の方が楽しめるだろう。基本的に危険個所はないが、露岩を歩いているときに躓いて右手を付いたら尖った岩の先端で親指根元を大きく切ってしまい6針縫合の深い傷を負ってしまった


ルート図。クリックで拡大表示


早朝の銅親水公園駐車場 銅親水公園案内板
ここを通って水道橋に行く 立派な橋を渡る
堰堤 足尾焼による壁画
ここから登る 堰堤へと登る道
堰堤から見た中倉山方面 まだ右岸沿いに道は続く
チェーンが登場するが立入禁止の看板無し まだ道は続く
水道橋。ここも立入禁止の看板無し 対岸の施設
鹿道で適当に林道へ下る 舗装された林道に出た
井戸沢 南には1251.0m三角点峰
解放されたゲート 上久保沢の堰堤。この先が踏跡入口
踏跡入口。赤テープあり 最初は道が薄いのでテープを頼りに進む
少し進むと明瞭な道に変わる フィックスロープも登場。一般登山道並み
目印多数あり 谷地形の東側をジグザグに登る
南尾根向けて方向転換 1300m付近で南尾根に乗る
ごく低い笹に明瞭な道が延びる 1390m峰
樹林の隙間からオロ山を望む 道の分岐。どちらもOK。往路は直進(トラバースコース)
樹林帯を出た 南東尾根を見下ろす。途中、厳しそうなガレあり
鹿が多い 鹿に負けずツツジも多い
ヒメハルゼミは大合唱 緩やかに登る
三角点 間もなく山頂
中倉山山頂 中倉山から見た沢入山、オロ山
中倉山から見た北半分のパノラマ展望(クリックで拡大)
このブナは新たに生えた? 笹は鹿が刈り払ってくれる
露岩帯を越える 砂礫帯もある
たぶん鹿道 1640m峰手前の露岩。下りで右手を負傷した場所
露岩から沢入山方向を見る
1640m峰から見た沢入山 明るい尾根が延々と続く
沢入山山頂 沢入山から見た日光白根
沢入山から見た錫ヶ岳
沢入山直下から見たオロ山
沢入山を振り返る
1700m峰から見た西側の展望
1610m鞍部と1682m峰 標識か何かの足か?
1682m峰を越える 1670m鞍部から登りにかかる
急斜面は踏跡が消えて矮小な樹林 傾斜が緩むと笹が出現
北側の笹が消えた樹林帯を進む 1750m峰を越えて1740m鞍部
1740m鞍部から見た北側の展望
足跡あり 登りにかかる。笹の中に鹿道あり
樹林に入ると笹が消える 尾根が細くなると石楠花登場
踏跡は南側を巻く 最近刈り払った跡
オロ山山頂(三角点) 32年前の山頂標識
オロ山最高点。三角点より東にある オロ山最高点から見た日光白根
オロ山最高点から見た松木沢 石楠花は満開
オロ山最高点から見た北側の展望(クリックで拡大)
オロ山最高点から見た巻機山
1740m鞍部から1750m峰を見る 1750m峰
樹林の隙間から見た沢入山 1682m峰
1610m鞍部へと鹿道を下る 登り返し
この辺で単独男性と立ち話 1660m肩直下
1700m峰を越える 帰路の沢入山
1640m峰から見た中倉山へ続く尾根
帰路の中倉山 林道。井戸沢で血を洗い流す
水道橋 堰堤を越える
公園から中倉山方向を見る 駐車場。満車状態だった


 足尾中心部付近、特に松木沢沿いの山は旧足尾銅山の硫黄酸化物を含んだ排煙の影響で山の木々がほぼ全て枯死し、丸裸の山になってしまった。今なお植林事業が進められているが完全回復の道は遠い。樹林が無くなると雨で表土が流出、岩盤むき出しになるので山登りで岩屋さん以外にとってはよろしくない。そんなまっただ中にあるのが中倉山だった。リスクがあるので登るのを後回しにしていたが、今はネットで情報収集可能で安全ルートを見いだせるから便利だ。情報によると銅親水公園から仁田元川左岸の林道へ水道管の橋がかかっていて、これで林道へショートカットして上久保沢左岸に作業道があり山頂まで続いているとのこと。このルートは危険個所が無く普通に歩けるようだ。

 中倉山から庚申山へ続く尾根上には、山名事典記載の山で沢入山(1704m標高点)、オロ山(1821.7m三角点)がある。当然、これもターゲットに入れる。

 夕方の銅親水公園には車が1台、その後1台増えて隣にテントが出現、さらに夜に車とテントが増えていた。中倉山はマイナーな山だと思うが私の他に登山者がいるとはちょっと驚き。日の出の時刻は充分明るいがまだ周囲に動きはなく、本日は私が先頭で出発となった。

 立派な橋を渡って大きな堰堤下を通過、対岸(右岸)に堰堤へ登る遊歩道がありこれを辿って堰堤を越えてもまだ道は続く。途中、鎖で通行止めになっているが立入禁止の看板があるわけでもなく通過して少し歩くと仁田元川に水道管を渡す橋が出現する。ここにも通行禁止等の看板は無い。人間が通行可能な構造なので使わせてもらったが、仁田元川は水量は少なく、場所を選べば橋を使わなくても渡れそうだった。

 対岸にはコンクリートの構造物があり、ここから鉄管にきれいな水が流れ込んでいた。舗装された林道に降り立ち歩き始めると、周囲は鹿の影が濃い。樹林が無い山肌などでは鹿の姿が丸見えだ。これだけ鹿が多いと植林しても喰われてしまうだろう。そのためか柵で囲まれたエリアもあった。

 唯一のヘアピンカーブがあるところが井戸沢。まだここは最初の方。しばらく歩いて鉄骨製の籠のような構造体に石が詰まった堰堤がある沢が登場、ここはまだ目的の上久保沢ではない。まだ歩いてコンクリート製の堰堤が登場すると上久保沢だ。この右岸側に作業道があるはずと注意しながら進んでいくと、沢より100mくらい進んだ場所で赤テープを発見。しかしこの付近には明瞭な道が見当たらない。右斜め上に廃林道のような広い筋が上がっているが、これは最初だけですぐに斜面に溶け込んで消滅している。周囲をよ〜く見渡すと斜面をまっすぐ上がるようなルートにテープを発見。最初こそ道が薄いが少し登るとえらく顕著な道に変わり迷う心配が無くなった。

 道は尾根上ではなく斜面をジグザグに登るよう付けられていた。植生は1種類の木のみであり人工的な植林と分かるが、杉やヒノキのような針葉樹ではなく落葉樹で、かなり成長していて自然林と言っても不自然さは感じないだろう。これも長年の植林の成果だろう。明瞭な道が続き赤テープも散見される。標識が整備されれば登山道と呼んでもいいかもしれないレベルだ。まだ早朝で気温は低め、汗をかかずに快適に歩ける。既に日差しが差し始めた谷の菱側斜面はヒメハルゼミの大合唱。昨日の庚申山付近も大合唱だったな。

 標高1300mで南尾根に乗り、以降は尾根上を進む。やはり尾根を登る方が藪屋としては安心できる。高度が上がると足首程度の高さの低い笹が見られるようになるが、芝生のように地を這う高さであり藪ではない。鹿に食われたからではなく、そういう高さの種類なのだろう。地形図で1390m肩は小ピークになっていて、その先で鞍部に下る。鞍部付近で西側の展望が開け、沢入山、オロ山の姿が見える。沢入山まではほぼ樹林が無く展望がいい稜線が続き、オロ山付近は深いコメツガ樹林だ。

 鞍部から登りにかかり、尾根の東側をトラバース気味に進んでいくと途中で道が2つに分かれる。このまま直進してトラバースするコースと、左に曲がって尾根上を行きそうなコース。たぶんどちらでも山頂に行くと思うが、とりあえず直進のトラバースコースに進んでみる。しばしトラバースが続き、突如として樹林帯を抜けて日差しが眩しくなる。東斜面はまだ植林が完全に根付いていないようで隙間が多い。下を見ると1016.8m三角点峰から続く尾根が見えるが、途中がガレてイヤらしい。

 東尾根に乗るとルートは山頂目指して左に曲がってまっすぐ登り始める。花盛りのツツジが増えて樹林の高さが低くなり、背後から差す日差しが暑い。右手の斜面はまだ木がほとんど無い荒涼とした斜面だが鹿は元気に走り回っている。これだけ鹿が濃いと植林しても鹿に喰われるだろう。樹林の高さが低くなったのでヒメハルゼミも低い場所に止まって鳴いているのでうるさいくらいだ。姿が見えるか探してみたらあちこちに止まっている。透明な翅でツクツクボウシやヒグラシを小型にしたような姿だった。

 傾斜が緩んで肩のような場所に出ると左手の木に赤テープの目印あり。途中で分岐した道だろう。帰りはここから下ってみるか。中倉山山頂までの途中で三角点があるはずで気にしながら進んだが往路では発見できなかったが、帰路では見つけることができた。僅かに平らになった場所で道のすぐ左側(南側)だった。

 さらに進むとツツジも切れて全く木が無い稜線に変貌、大展望が楽しめる。僅か先にはケルンのように石が積み上がった中倉山山頂。地形図では中倉山は三角点を指しているように見えるが、最高点は2個所ある1520m峰のどちらかであるが、山名事典は西側のピークを山頂としている。手製の小さな山頂標識が1つあるだけ。立木が無いので標識を付ける場所が無いが。ここまでほとんど疲労を感じなかったのでこのまま先に進む。

 中倉山より先はまるで森林限界のような光景で、砂礫や低い笹のみで尾根上には立木はほぼ皆無だ。南斜面の樹林帯が写らないようアングルを考えて写真撮影すれば、アルプスと間違えるかもしれない。藪が無いので適当に歩ける。露岩帯は尾根上をそのまま進んだが、鹿道は南斜面を巻いているようだ。そっちの方が歩き易いだろう。

 登りにかかり低い笹の中に延びた鹿道を上がっていく。もう日差しが暑い時間帯で麦わら帽子で良かった。1640m峰手前で再び露岩が登場、これも真上を越えたが帰りは右(東)から巻いた。振り返ると中倉山の平坦なピークが遠い。

 1640m峰に到着して地図を広げるとまだ山頂ではなかった。次のピークが沢入山山頂で標高差は約50m、でも見た感じはそれほど高くは見えない。中倉山からここまで樹林は無かったが、沢入山山頂付近のみ低い樹林が生えているのが見える。樹林が無く開けた小鞍部に下って登り返し。おう、確かに標高差50mくらいはあるか。そして沢入山山頂到着。

 遠目に見たとおり樹林に覆われているが背が低く密度が低い樹林だった。少しずれれば展望が得られる。ここまで来ると北の正面には大平山。登ったのは20年近く前ではなかろうか。奥の方には僅かな残雪の日光白根。残っているのは沢筋だけなので、夏道にはもう雪は無いだろう。今日は天気がよく三角形の皇海山もよく見えていた。それに対して南側は空気が淀んで遠望は悪かった。思ったよりも中倉山から時間がかかったのでここで休憩。日影に入るとちょうどいい気温だった。中倉山は既に遠く、後続の登山者が到着しているのかは見えなかった。

 さて、最後の目的地、オロ山向けて出発。すぐお隣の1700m峰を越えて1660m肩までは樹林が開けた尾根で、その先の下りで僅かな区間だがコメツガ樹林の尾根を下る。樹林の中だけは笹が薄い。もっとも、笹があるとは言っても膝丈くらいの高さであり明瞭な鹿道も存在するので笹が乾いていれば苦労はしない。

 樹林を抜けて1610m鞍部が見通せるようになると、笹原の中に明瞭な鹿道が幾筋も見えている。稜線直上ではなく南直下の鹿道が一番濃いようだが、往路ではとりあえず尾根の真上を歩こう。その方が風通しが良くて涼しいし。グングン高度を下げて鞍部へ。鞍部には1620m小ピークがあり、その手前と奥が鞍部となっていた。奥の方が最低鞍部か。

 鞍部から登りにかかると日影が無く容赦なく照りつける日差しが暑い。今日は今年初めて扇を持ってきたので右手左手と持ちかえながらパタパタ。真夏でもっと気温が上がると扇で扇いでも熱風がくるだけで気持ち良くないが、今ならまだ体感的な効果はある。1682m峰は鹿道に従って南から巻くが、途中で鹿道が笹の中に消えるので適当に稜線に上がる。この一帯もほとんど立木無しの笹原だが、僅かに数本のコメツガが立っていて涼しい木陰を形成していた。

 笹原に延びた鹿道を辿り、1750m峰への登りに取りつくと笹が消えて矮小な樹木の急斜面になる。藪が無いのでどこでも歩けるが目印も無く、木の隙間が広く通過しやすいところを適当に登っていく。傾斜が緩むと笹が復活し鹿道、目印も復活する。尾根直上は笹が濃いが北側直下は笹が切れたコメツガ樹林で歩きやすく、目印、踏跡もそちらを通っていた。樹林の中なので日影で涼しい。

 1750m峰を越えると樹林が切れて低い笹原となり1740m鞍部へ緩やかに降下。土の上には先人の足跡が残るが、たぶん昨日のものだろう。僅かな笹地帯を横断して最後の登りにかかると背の高いコメツガ樹林に突入、これ以降は庚申山周辺と同じくシラビソ樹林が続くのであろう。笹が無いのでどこでも歩けるが目印を辿って進んでいく。尾根が痩せると尾根直上には石楠花藪が登場。これを進むのか?と思ったら稜線南側のシラビソ樹林に踏跡は逃げていた。よかったぁ。

 石楠花を避けて道は続き、所々に人工的に切断された断面の石楠花切株があり、三角点手前ではまだ青々とした石楠花枝が散乱、ささやかだが刈り払いされているのだった。三角点は最高点を西に行きすぎて若干下ったところにあった。ここは尾根上の石楠花が消えて地面が出ており広場になっていた。三角点に寄りかかって古い山頂標識あり。M大WV(ワンゲル部)ではなくM大ウォーキング部の標識だった。1981年秋とのことだから32年前。当時の学生は私より年上のオジサンになっているはず。この標識はまだ数10年持つかな。

 三角点はあまり展望は良くないため、最高点へと向かう。踏跡は巻いているが細い踏跡が最高点へ続く。最高点の北側は低い石楠花なので展望良好。南側はシラビソ樹林で展望なし。山頂部は石楠花で座る場所が無いので踏跡に戻って日陰で休憩。これで今日の目的地は全て踏むことができた。今日はここまで足を延ばす人が他にいるだろうか。

 休憩を終えて下山開始。ルートは往路が頭に入っているので問題なし。沢入山との間の1610m鞍部を通過し、1660m肩を登ったところで単独男性と遭遇、鹿沼に住んでいるとのことで近くていいなぁ。しばし立ち話をしてから分かれた。

 沢入山を通過し、1640m峰下の露岩を右から巻いて間もなく露岩帯が終わるという場所で躓いて反射的に右手を出して体を支えたまではよかったがその場所が悪かった。刃物のように薄く尖った岩に擦るように手をついたため、親指の付け根がざっくりと切れてしまった。岩に手が当たって怪我をするのはそれなりの頻度で発生することなので最初は大した怪我ではないとたかをくくっていたが、傷口を口でなめてみて傷の深さにびっくり。表皮、真皮だけでなくその下の組織まで切れている深さ。しばらく傷口をなめていれば血が止まるだろうとそのまま歩いていたが数分経過しても血が止まらない。今までそこまでの怪我はしたことが無く焦る状況なのでテープで応急処置をすることに。私は肉刺や怪我対策でテーピングを持ち歩いている。ちょっとした怪我ならこれで対応可能で、患部の上から貼り付ければ大抵は止血できるのだが、今回は傷が大きく深く絶えず出血するので患部が濡れて接着しない。しかたないので包帯のように上からぐるぐる巻きにして患部を圧迫して止血を試みたが、テーピングの繊維の隙間から血がしみ出して止まらない。たぶんここまでの出血量はせいぜい数10ccくらいだと思うが、これが2時間も続くと洒落にならない出血量になってしまう。駐車場までそれくらいの時間はかかるだろうし、足尾の適当な病院までそこから20分くらいかかるか。ちなみに出血の速さや体格にもよるが、人間の致死的出血量は2リットル弱であり1.5リットルを超えると命の危険が出てくる。

 こうなったら最終手段。止血のためには患部をできるだけ高い位置に維持し、右手全体が影響を受けるが右手首を締めつけるしかない。本当は右手首を紐等で縛りたいところだが片手では縛れないため、左手で右手首を握りしめた。これだと締め付けは不完全だが、傷口の血が止まる程度まで血流が抑えられればいいので適当かもしれない。この効果は抜群でものの数分で血が止まってくれた。その間、右手を上げた状態だったので右腕が血まみれになってしまい、実際の負傷以上に派手な外観となった。おかげで沢入山へ向かう男女とすれ違った時に心配されてしまった。まさか怪我をした個所が親指だとは思わなかっただろう。足尾には大きな病院があるが外科が休日診療をやっているかまでは分からないとのことだった。

 無人の中倉山を通過、帰りは入口の踏跡は薄いが目印のある南尾根コースから。ここで樹林帯に突入するので展望が無くなるが日影で涼しくなる。南尾根を離れてジグザグに下っていくと2パーティーとすれ違った。朝に駐車場で見た以上に登山者が入っているようだ。下りの傾斜がそれなりにきつく、心拍数が上がって出血するかと思ったらそれはなかった。

 林道に出てからはすれ違う人は無し。井戸沢手前のカーブで車が2台止まっていたが、林道入口にゲートがあるので工事関係者のものだろう。高みに登って何やら測定?していた。井戸沢に下って右腕にこびりついた血を洗い流す。手に巻いたテーピングが真っ赤なのはいかんともしがたいが、これだけでも見た目がすっきりした。公園に到着しても傷に気付く人はいなかった。

 汗臭いままで医者に行くのも気が引けるので片手で着替えて濡れタオルで体を拭いて車を運転。手をハンドルに置くと手はそれなりに高い位置になり、出血はなかった。市街地を走りながら病院を探していると国道沿いに大きな建物を発見、「足尾双愛病院」と書かれておりビンゴ。駐車場に車を置いて受付で聞いてみると休日診療OKとのことで助かった。僅かな待ち時間で診察へ。出血は完全に止まってテーピングを外しても大丈夫だった。やはり大きな怪我で傷を見るとグロい。看護婦さんは傷を見て正式な医者の診察が必要と判断となり若い男性の医者が登場。やはり縫合となった。掌に打つ麻酔注射は怪我したときより痛かった! すぐに麻酔が効いてきれいな水で傷口をゴシゴシ洗われた。その後に縫合。端の方は麻酔の効きが弱くて痛みを感じたが、麻酔の注射をされるよりはマシなのでそのまま続行。結局、6針も縫われた。傷は親指根元だが、包帯は親指全体から手首までと広範囲で、包帯を巻いた看護婦さん本人も「ちょっと派手すぎた」とのこと。この後の治療は地元で行うため、今回の処置内容を書いた申し送り状もいただいておしまい。

 これで一安心だが、この怪我では温泉は無理で東京まで直行した。

 

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